椎間板ヘルニアで就職を諦めた話 腰痛持ちにエンジニアは辛いよ

バイト

大学を卒業してからずっとアルバイトを掛け持ちしたり個人事業主としてなんとか生計を立てていますが、私も実は一般企業に内定が決まっていました。

近年人材不足が騒がれていることが要因だと思いますが、3社の面接を受けて2社から内定をいただきました。

残りの1社は適性試験で落ちてしまったようなので面接は受けていません。

私は文系私立大学に通っていたのですが、将来性を考えてIT系に就職したい思っていました。

もちろんITの知識は皆無だったのですが文系でもプログラミング研修などが充実している企業がたくさんあったので不安はありませんでした。

2社のうちで私が選んだのは●●●●●●という、都内にあるITベンチャー企業。

創業10年以内で小さいながらも海外にも支社を持っていました。

面接で社長と直接話し、海外進出のビジョンを持っていることに共感してその会社に入ろうと決めました。

社員も若い人が多くほとんどが未経験からプログラミングを始めた人ばかり。

懇親会で先輩方と交流しましたが割と印象が良かったのもあって「自分は良い会社に巡りあえた」と思いました。

しかし内定式が近くある日、プログラミング研修中に事件が起こります。

社内の面談室で一緒に入社する予定だった人と簡単なプログラミング研修を受けていたのdすが、長時間同じ姿勢で椅子に座ってパソコンの画面を見ていると腰が痛くなってきました。

実は私は高校生の時から腰痛持ちで、大学生の時には整形外科で「椎間板ヘルニア」と診断されていました。

普段一人でいる時には30分以上椅子に座っていることはなるべく避けていますが、研修となるとそんなに頻繁に勝手に立ち上がったりストレッチすることも出来ません。

しかもプログラミング研修はずっと同じ姿勢で手をキーボードに乗せたままなので全身がこわばって腰に響きます。

ずっと同じ姿勢で座っていると腰が痛くなるので、ちょくちょく腰の位置を変えたりしていました。

しかしずっと座り続けるのは限界があります。

研修は1日あたり6時間ほどで、2時間ごとに15分の休憩がある程度でした。

休憩の時間はなんとか腰の痛みを和らげようと狭いトイレでストレッチをしたり腕立てをしたりする始末。

この時点で「俺にはエンジニアは向いてない」と悟ってしまいました。

研修すら腰痛に耐えられないんだったら実際の業務で絶えることは出来ません。

システムエンジニアは激務と言われていて、何十時間の残業なんて当たり前の世界だと聞いていました。

腰痛持ちには厳しすぎる世界でした。

詳細は省きますが、後日採用担当と社長と面談をして内定を辞退することにしました。

直接的には言われませんでしたが、向こうとしても戦力外になるくらいだったら辞退して欲しいという感じだったので割とスムーズに辞退することは出来ました。

しかし腰痛が原因でデスクワークが出来ないなら、ほぼ全ての業種に就職することが出来ません。

デスクワークがない業種なんて肉体労働くらいしか思いつかないし、肉体労働はそもそも腰に悪いので選択肢にはありません。

「腰痛が原因で就職出来ない」

このことはあまりにショッキングで当時の私はかなり落ち込みました。

「就職出来ないならお金が稼げないから生きていけない。いっそ死のうか」

ということも少しだけ考えましたが、幸い当時の私の周りにはフリーで生計を立てている人が何人かいて、そういう人たちの生き方を見ていてので自分でもなんとか生きていける気はしてました。

しかしせっかく内定を取ったのに辞退したことを家族に伝えるのも苦痛でした。

当然親戚一同がっかりしてしまいました。

あれから何年も経ちますが未だに一度も就職はしたことがありません。

しかし就職しなかったことは後悔してませんですし、むしろ就職しなくて良かったとも思っています。

フリーだとお金はあまり稼げませんが、代わりに会社という縛りがないのでストレスがほぼありません。

仕事づきあいもないし、都内近郊の家賃が高いマンションに住む必要もありません。

面倒な上司もいないし、スーツを着る必要もありません。

仕事の関係でいろんな素晴らしい人にも出会えたし、自分の人生としてはこれが正しい形なのかなと今では納得しています。

母親のこともあるし、もし就職していたら自由に実家に戻ることも出来なかったはずです。

今はなんとかギリギリ生計が立てられているので、親戚からも特に心配されてないようです。

世間的には「大学を卒業したら就職」という流れが当たり前のようですが、社会には色んな事情を抱えた人がいるので、いろんな生き方があってもいいですよね。

そういう人たちがたくさん増えてもうまく回るような社会になって欲しいものです。

コメント